製造業の法定三帳簿|労働者名簿と賃金台帳と出勤簿
公開 2026年9月3日/更新 2026年10月3日
目次11項目
- 1製造業の法定三帳簿とは何を指すか
- 3つがそろって意味を持つ
- 人が入ったときにまとめて作る
- 調査で最初に見られる
- 2製造業の労働者名簿に書く項目
- 配置が変わったら業務を直す
- 住所の変更を反映する
- 退職の記載を忘れない
- 履歴の欄の書き方を決める
- 様式の指定を確かめる
- 3製造業の賃金台帳に書く項目
- 出勤簿の時間と合わせる
- 手当の内訳を分けて書く
- 交代勤務の深夜の時間を残す
- 4製造業の出勤簿で労働時間をどう残すか
- 始業と終業の時刻を残す
- 休憩と残業を分かる形にする
- 打刻と実態のずれを埋める
- 集計の元になる記録を1つにする
- 交代勤務の日付の扱いを決める
- 5製造業の法定三帳簿の保存期間
- 起算の日を確かめる
- 年度ごとにまとめる
- 電子で残す場合の要件を確かめる
- 6製造業の法定三帳簿を調査で求められたとき
- 全員分がそろっているかを確かめる
- 出勤簿と賃金台帳のずれを調べる
- すぐ出せる場所に保管する
- 7製造業の法定三帳簿を人の出入りに合わせて回す
- 雇入れの手続きに組み込む
- 短期の人も同じ流れに乗せる
- 退職のときに保存へ回す
- 8製造業の法定三帳簿と他の記録のつなぎ方
- 在籍の一覧を1つにする
- 配置の変更を各記録に反映する
- 保存の期限を1つの表で管理する
- 9製造業の法定三帳簿にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
- 10製造業の法定三帳簿に出てくる用語
- 11製造業の法定三帳簿と一緒に押さえておきたいこと
- 法定三帳簿がないときの罰則
- 個人事業主でも人を雇えば作る
- 保存の年数と賃金の時効をあわせて見る
労働基準監督署の調査で最初に出すよう言われるのが、この3つです。どれか1つでも欠けていると、そこから話が始まります。
一般には、3つを別々の担当が別々の時期に作っています。そのため、人が増えたときに1つだけ抜けることがあります。
とはいえ、作るきっかけは同じで、人が入った日です。入った日に3つまとめて作ると、抜けが起きにくくなります。
ポイントはここです。製造業の法定三帳簿は、人が入ったときにまとめて作る流れにすることで欠けません。
ここでは、3つが何を指すのか、それぞれに書く項目、保存の年数、そして人の出入りに合わせた回し方までを順に整理します。
製造業の法定三帳簿とは何を指すか
製造業の法定三帳簿は、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の3つを指します。労働基準法で作成や保存が定められている書類です(第107条〜第109条)。
そのうえで、3つはそれぞれ違う面を記録しています。誰がいるか、いくら払ったか、いつ働いたか。
- 誰がいるか労働者名簿
- いくら払ったか賃金台帳
- いつ働いたか出勤簿
3つは、それぞれ独立した書類です。そのうえで、内容は互いにつながっています。
3つがそろって意味を持つ
労働者名簿だけがあっても、いくら払ったかは分かりません。賃金台帳だけでも、その時間働いたかは分かりません。
そのため、3つそろって初めて労務の状況が見えます。どれか1つが欠けていると、確かめようがない部分が残ります。
調査でも、3つを突き合わせて見られます。
人が入ったときにまとめて作る
3つとも、人が入った時点で必要になります。別々のタイミングで作ると、どれかが後回しになります。
そのうえで、雇入れの手続きの一部として組み込みます。雇用契約書、社会保険の手続きと同じ流れに乗せます。
まとめて作る形にすると、抜けが起きにくくなります。
調査で最初に見られる
労働基準監督署の調査では、この3つから確認が始まります。そろっていないと、それ自体が指摘になります。
そのうえで、内容が実態と合っているかも見られます。出勤簿の時間と賃金台帳の時間が違っていれば、理由を聞かれます。
備えるというより、日々の運用の結果が出ます。
製造業の労働者名簿に書く項目
製造業の労働者名簿は、在籍する人の基本の情報をまとめた書類です。本人の特定から、退職の記載までを1枚に収めます。
- 1 氏名と生年月日 本人の特定
- 2 履歴 経歴の記載
- 3 性別と住所 定められた項目
- 4 従事する業務 工程や職種
- 5 雇入れの年月日 入った日
- 6 退職と死亡 年月日と事由・原因
前半は入るときに書く項目です。そのうえで、後半は在籍中と退職時に書き足します。
| 項目 | 書く内容 | 気をつけるところ |
|---|---|---|
| 氏名 | 本人の氏名 | 社内で表記を1つに決める |
| 生年月日 | 年月日 | 年齢の確認に使う |
| 履歴 | 経歴 | 社内の異動も書ける |
| 性別 | 定められた項目 | 労基則第53条 |
| 住所 | 現住所 | 変わったら直す |
| 従事する業務の種類 | 工程や職種 | 常時30人未満の事業では不要 |
| 雇入れの年月日 | 入った日 | 契約書と合わせる |
| 退職の年月日と事由 | 解雇の場合は理由も | 保存の起算に関わる |
| 死亡の年月日と原因 | 死亡時に記載 | 保存の起算に関わる |
右の列は、実際に間違いやすい部分です。記入した事項が変わったときは、遅滞なく訂正すると定められています(労働基準法第107条第2項)。そのうえで、在籍中に変わる項目が3つあります。
配置が変わったら業務を直す
従事する業務の欄は、配置が変わったら直します。製造では、工程の異動が起きやすい部分です。
そのため、異動の手続きに名簿を直す作業を入れます。入ったときの工程のまま残っていることがあります。
年齢制限のある作業では、この欄が確認の材料になります。
住所の変更を反映する
住所が変わったとき、本人から届け出てもらいます。届け出の仕組みが無いと、誰も気づきません。
そのうえで、社会保険や給与の書類とも合わせます。別々に管理していると、片方だけ古いままになります。
届け出の様式を用意しておくと、まとまります。
退職の記載を忘れない
退職した人の名簿は、退職の年月日と事由を書いて保存に回します。書かずに外すと、保存の年数が数えられません。
退職の記載を残すと、保存の年数が数えられます。
そのうえで、在籍中のものと分けて保管します。
履歴の欄の書き方を決める
履歴の欄は、書き方に幅があります。入社前の経歴だけを書く形と、社内の異動も書く形があります。
そのうえで、どちらにするかを決めておきます。人によって書き方が違うと、後から見たときに揃いません。
社内の異動を書く形にすると、配置の変遷が追えます。どの工程を経験してきたかが分かります。
教育の記録とも結びつけやすくなります。
様式の指定を確かめる
労働者名簿の様式は、労働基準法施行規則の様式第19号として定められています。自社の様式を使う場合も、必要な項目を満たしているかを確かめます。
そのうえで、項目が改正されることがあります。定められた項目が変わったときは、様式も直します。
古い様式のまま使い続けていることがあります。新しく作る人の分から、新しい様式に切り替えます。
在籍している人の分も、更新の機会にそろえます。
製造業の賃金台帳に書く項目
製造業の賃金台帳は、支払った賃金の内訳を人ごとに残す書類です。交代勤務や残業がある職場では、時間の記載が重くなります。
- 氏名と性別労働者ごとに作る
- 賃金計算期間締めの期間
- 労働日数と時間数出勤簿と合わせる
- 時間外・休日・深夜それぞれの時間数
- 賃金の種類ごとの額基本給と手当
- 控除した額社会保険と税など
どれも定められた記載事項です。そのうえで、時間に関する2つは出勤簿とつながります。差し引いた支給額は記載事項として挙げられていませんが、書いておくと支払いの確認に使えます。
出勤簿の時間と合わせる
賃金台帳の労働時間は、出勤簿の記録から集計します。2つが違っていると、どちらかが正しくないことになります。
そのうえで、集計の元になる記録を1つに決めます。タイムカードと手書きの日報が両方あると、ずれます。
調査では、この2つを突き合わせて見られます。
手当の内訳を分けて書く
基本給と手当を、分けて書きます。まとめて総支給額だけを書く形は足りません。
手当の内訳を分けて書くと、割増の計算の根拠も示せます。
そのうえで、割増の計算に入れない手当も区別します。
交代勤務の深夜の時間を残す
交代勤務がある職場では、深夜の時間数が毎月出ます。22時から翌5時までの時間を、別に集計します(労働基準法第37条第4項、同法施行規則第54条)。
深夜の時間を分けて残すと、割増の根拠が示せます。
製造業の出勤簿で労働時間をどう残すか
製造業の出勤簿は、いつ何時間働いたかを残す記録です。出勤の有無だけでは足りず、時刻が要ります。
足りる形
- 始業と終業の時刻がある
- 休憩の時間が分かる
- 残業の時間が分かる
- 実態と合っている
足りない形
- 出勤の丸だけ
- 時刻が定時のまま
- 残業が別紙にしかない
- 打刻と実態が離れている
左が求められている形です。そのうえで、右のような形になっている職場が少なくありません。
始業と終業の時刻を残す
出勤簿には、始業と終業の時刻を記録します。出勤に丸を付けるだけの形では、労働時間が分かりません。
そのうえで、時刻は実際の時刻を書きます。定時の時刻を毎日同じように書く形は、記録として弱くなります。
タイムカードや勤怠のシステムがあれば、その記録が使えます。
休憩と残業を分かる形にする
休憩の時間と、残業の時間を分かる形にします。拘束の時間から休憩を引いたものが、労働時間になります。
そのうえで、残業を別紙で管理している場合はつなげます。出勤簿だけを見て残業が分からない形は、突き合わせが要ります。
1つの記録で完結する形にすると、確認が早くなります。
打刻と実態のずれを埋める
打刻の後に片付けをしている、打刻の前に着替えている。こうしたずれが、製造の現場では起きやすくなります。使用者の指示で行う所定の服装への着替えや、業務後の片付けは、労働時間に当たるとされています(労働時間の適正な把握のためのガイドライン)。
打刻と実態が合っているかを確かめます。
集計の元になる記録を1つにする
タイムカード、日報、勤怠のシステム。記録が複数あると、どれが正なのかが決まりません。
そのうえで、集計の元にする記録を1つ決めます。他は参考の記録として扱います。
決めていないと、月末の集計で人によって違うものを見ます。同じ月の同じ人の時間が、担当によって変わります。
元にする記録を決めると、この揺れが止まります。
交代勤務の日付の扱いを決める
夜勤が日付をまたぐとき、どちらの日に付けるかを決めます。始業の日に付ける形が一般的です。
そのうえで、決めた形を全員で守ります。人によって扱いが違うと、集計が合いません。
日をまたぐ勤務では、深夜の時間数も分けて出します。22時から翌5時までが対象になります。
そのうえで、休憩を挟む場合の扱いも決めます。深夜の時間帯に休憩が入ると、その分は引きます。
出勤簿の様式に、深夜の欄を作っておくと計算が楽になります。毎月の集計で、そのまま賃金台帳に移せます。
交代の勤務表と出勤簿がずれることもあります。予定と実際が違ったとき、出勤簿は実際を書きます。
そのうえで、勤務表は予定の記録として別に残します。
製造業の法定三帳簿の保存期間
製造業の法定三帳簿は、在籍中は使いながら、退職後も一定期間残します。起算の日と年数を決めておかないと、判断がその都度変わります。
法律上は5年間とされ、当分の間は3年間の扱いになっています(労働基準法第109条、附則第143条)。そのうえで、社内では長いほうに合わせる形もあります。
起算の日を確かめる
保存の年数を数える起点は、書類によって違います(労働基準法施行規則第56条)。労働者名簿は死亡・退職・解雇の日、賃金台帳は最後の記入の日。
そのうえで、出勤簿は「その完結の日」、つまり最後の記載の日から数えます。賃金の支払期日がそれより後になるときは、支払期日から数えます(同条第2項)。起点が違うので、まとめて同じ日から数えると合いません。
書類ごとに起点を書いておくと、迷いません。
年度ごとにまとめる
退職した人の書類を、年度ごとにまとめます。個人ごとにばらばらに保管すると、廃棄の判断が個別になります。
年度ごとにまとめると、廃棄の判断が楽になります。
電子で残す場合の要件を確かめる
紙ではなく電子で保存する場合、確かめる点があります。必要なときにすぐ画面に出せること、印刷できること。
そのうえで、勝手に書き換えられない仕組みも要ります。表計算のファイルをそのまま置いている形は、弱くなります。
バックアップの取り方も決めておきます。
製造業の法定三帳簿を調査で求められたとき
製造業の法定三帳簿は、調査の場でその日のうちに出すよう求められます。探すところから始めると、時間がかかります。
- 3つがそろっているか はい次へ いいえ欠けている帳簿を作る
- 在籍する全員の分があるか はい次へ いいえ抜けている人を確かめる
- 出勤簿と賃金台帳が合っているか はい次へ いいえずれの原因を調べる
- 保存の年数を満たしているか はい出せる形 いいえ廃棄の運用を見直す
そろっているか、全員分あるか、合っているかを順に見る
上から順に確かめると、抜けが見つかります。そのうえで、日ごろから満たしている形にしておきます。
全員分がそろっているかを確かめる
パート、アルバイト、期間の定めのある人。これらの人の分が抜けていることがあります。
そのうえで、雇用の形にかかわらず必要です。短期間で辞めた人の分も、作って保存します。なお、日々雇い入れられる人は労働者名簿の対象から外れますが、賃金台帳は様式第21号で作ります(労働基準法第107条、同法施行規則第55条)。
在籍の一覧と突き合わせると、抜けが見つかります。
出勤簿と賃金台帳のずれを調べる
2つの時間が合っていないとき、原因を調べます。集計の誤り、記録の漏れ、扱いの違い。
そのうえで、原因が分かったら両方を直します。片方だけ直すと、また合わなくなります。
ずれが続いている場合は、集計の手順に問題があります。
すぐ出せる場所に保管する
書類が複数の場所に分かれていると、集めるのに時間がかかります。在籍中のものと退職者のもので、場所を分けておきます。
保管の場所を決めておくと、その場で出せます。
製造業の法定三帳簿を人の出入りに合わせて回す
製造業の法定三帳簿は、人の出入りに合わせて動きます。採用と退職の手続きに、帳簿の作業を組み込みます。
- 1 採用の決定 雇用の条件を決める
- 2 雇入れの手続き 3つの帳簿を作る
- 3 配置 従事する業務を書く
- 4 毎月 出勤簿と賃金台帳を更新
- 5 配置の変更 名簿を直す
- 6 退職 記載して保存に回す
入口と出口が、いちばん抜けやすい部分です。そのうえで、手続きの一覧に入れておきます。
雇入れの手続きに組み込む
雇用契約書、社会保険の手続き、健康診断。入るときにやることの一覧に、3つの帳簿を加えます。
そのうえで、担当が違う場合は引き継ぎを決めます。人事が名簿、経理が賃金台帳、現場が出勤簿という分かれ方があります。
一覧を1つにして、誰がやるかを書いておきます。
短期の人も同じ流れに乗せる
数か月の期間で入る人、繁忙期だけの人。こうした人の分が抜けやすくなります。
そのうえで、雇用の形にかかわらず同じ流れに乗せます。短期だからと省くと、後から作れません。
派遣の人の法定三帳簿は派遣元が作りますが、出勤の記録は現場に残ります。派遣先は派遣先管理台帳を作り、就業した日や始業と終業の時刻を記録して派遣元に知らせることとされています(労働者派遣法第42条)。
退職のときに保存へ回す
退職の手続きで、3つの帳簿を保存へ回します。在籍中のファイルから抜いて、退職者の保管場所へ移します。
退職のときに保存へ回すと、探さずに済みます。
製造業の法定三帳簿と他の記録のつなぎ方
製造業の法定三帳簿は、他の労務の記録ともつながっています。在籍の情報を1つにすると、他の記録の抜けも防げます。
- 有給の管理年次有給休暇管理簿
- 健康の記録健康診断個人票
- 教育の記録安全衛生教育の台帳
どれも、在籍する人ごとに残す記録です。そのうえで、元になる在籍の一覧は同じものを使います。
在籍の一覧を1つにする
労務の記録ごとに別々の名簿を持っていると、更新が分かれます。片方だけ直して、片方が古いままになります。
そのうえで、在籍の一覧を1つにします。労働者名簿を元にして、他の記録はそれを参照します。
人が入ったとき、1か所を直せば済みます。
配置の変更を各記録に反映する
工程が変わると、必要な健康診断や教育も変わります。特定の業務に就く人には、別の項目が要ります。
そのうえで、配置の変更を各記録に伝えます。名簿だけ直して、健康診断の対象が変わっていないことがあります。
変更の連絡先を決めておくと、伝わります。
保存の期限を1つの表で管理する
書類ごとに保存の年数が違います。記録ごとに別々に管理すると、判断がそろいません。
期限を1つの表で持つと、廃棄の判断がそろいます。
製造業の法定三帳簿にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
製造業の法定三帳簿に書く項目そのものは、ここ数年変わっていません。そのうえで、保存の年数と、帳簿に書く時間や賃金の扱いが動いています。
| 時期 | 動き | 根拠 |
|---|---|---|
| 2019年4月1日 | 年5日の年次有給休暇を取らせる義務が始まり、年次有給休暇管理簿を作って保存することが定められた(労働基準法施行規則第24条の7) | e-Gov法令検索 |
| 2020年4月1日 | 労働者名簿・賃金台帳などの保存期間が5年に延び、経過措置で当分の間は3年とされた。賃金の請求権の時効も同じ形になった(労働基準法第109条・第115条、附則第143条) | 厚生労働省・e-Gov法令検索 |
| 2023年4月1日 | 中小企業でも、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が50%以上になった | 厚生労働省 |
| 2024年4月1日 | 雇い入れるときに明示する労働条件に、就業の場所と業務の「変更の範囲」などが加わった | 厚生労働省 |
ポイントはここです。月60時間を超えた時間は割増率が変わるため、賃金台帳の時間外の欄を60時間までと超えた分に分けておくと、計算の根拠が示せます。2024年4月の変更は雇用契約書の話ですが、労働者名簿の「従事する業務の種類」と中身をそろえておくと、配置換えのときに食い違いません。
出典:厚生労働省:法定三帳簿と保存期間について、e-Gov法令検索:労働基準法、e-Gov法令検索:労働基準法施行規則、厚生労働省:月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引上げ(PDF)、厚生労働省:2024年4月からの労働条件明示事項の追加(PDF)
確認日は2026年10月3日です。保存の年数や記載の仕方は、所轄の労働基準監督署で確かめられます。
製造業の法定三帳簿に出てくる用語
製造業の法定三帳簿に出てくる用語は、労働基準法とその施行規則の言葉が中心です。「法定三帳簿」と「出勤簿」は、条文にそのままの名前では出てきません。
| 用語 | 意味 | 出典 |
|---|---|---|
| 法定三帳簿 | 労働者名簿・賃金台帳・出勤簿をまとめた呼び方 | 法令上の定義はない |
| 労働者名簿 | 事業場ごとに、日々雇い入れられる人を除く労働者について作る名簿 | 労働基準法第107条 |
| 賃金台帳 | 事業場ごとに、賃金計算の基礎と賃金の額などを支払いのたびに書く台帳 | 同法第108条 |
| 出勤簿 | 始業と終業の時刻など、労働時間を記録した書類。保存の対象になる重要な書類に当たる | 同法第109条、労働時間の適正な把握のためのガイドライン |
| 賃金計算期間 | 賃金を計算する締めの期間。賃金台帳の記載事項 | 同法施行規則第54条 |
| 完結の日 | 出勤簿など重要な書類の保存期間を数え始める日 | 同法施行規則第56条 |
| 年次有給休暇管理簿 | 有給を与えた時季・日数・基準日を労働者ごとに書いた書類 | 同法施行規則第24条の7 |
ポイントはここです。出勤簿には名前の決まりがなく、タイムカードや勤怠のシステムの記録も保存の対象になります。残業の命令書やその報告書も、同じように労働時間の記録として扱われます。
製造業の法定三帳簿と一緒に押さえておきたいこと
製造業の法定三帳簿について調べると、保存期間やテンプレートの情報はよく見つかります。そのうえで、実務で聞かれやすいのは、帳簿がないときの罰則、個人事業主の場合、賃金の時効との関係の3つです。
法定三帳簿がないときの罰則
労働者名簿や賃金台帳を作らない、保存しないといった場合は、30万円以下の罰金の対象になると定められています(労働基準法第120条第1号)。調査で帳簿を出さない、うその記載をした帳簿を出すといった場合も、同じ条の対象です(同条第4号)。
そのうえで、調査で指摘を受けたときは、直した内容と日付を記録に残しておきます。次の調査で、どこをいつ直したかを説明できます。
個人事業主でも人を雇えば作る
製造業の法定三帳簿は、会社か個人事業主かを問わず、労働者を使う事業で作る形になります。パートを1人雇っている町工場でも、同じように作ります。
なお、同居の親族だけを使う事業には、労働基準法は適用されないとされています(同法第116条第2項)。親族以外の人を1人でも雇った時点で、3つの帳簿が要るようになります。
保存の年数と賃金の時効をあわせて見る
賃金の請求権の時効は、本則が5年、当分の間は3年とされています。退職手当の請求権は5年です(労働基準法第115条、附則第143条)。
そのため、帳簿を3年で処分すると、退職手当の確認で資料が足りなくなることがあります。厚生労働省の案内でも、3年を過ぎても労働関係の書類が要る場面があるとされています。社内では、本則の5年に合わせて残しておくと迷いません。
様式は労働者名簿テンプレート、賃金台帳、出勤簿からダウンロードできます。有給の管理は年次有給休暇管理簿にまとめています。

よくある質問
法定三帳簿とは何を指すのですか。
労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の3つを指す言い方です。労働者名簿は労働基準法第107条、賃金台帳は第108条で作ることが定められ、出勤簿やタイムカードは第109条の「労働関係に関する重要な書類」として保存の対象になります。「法定三帳簿」という言葉自体は、法令上の用語ではありません。
保存期間はどのくらいですか。
労働基準法第109条では5年間とされ、経過措置として当分の間は3年間とされています(同法附則第143条)。2020年4月1日の改正でこの形になりました。数え始める日は書類ごとに労働基準法施行規則第56条で決まっています。最新の扱いは所轄の労働基準監督署で確かめられます。
タイムカードがあれば出勤簿は不要ですか。
労働時間が正確に分かる記録があれば、それを出勤簿として扱う形が広く見られます。ただし打刻が実際の労働時間と離れている場合は、そのままでは足りません。残業や交代勤務の実態が分かる形にしておくことが要になります。