製造業の作業日報の書き方|項目と集計への使い方

公開 2026年9月3日/更新 2026年10月3日

商い屋 製造 編集部法令の原文と省庁の資料で確認:2026年10月3日
目次11項目

作業日報の欄が20も30もあると、埋まらない欄が並びます。書く側は時間を取られ、集計する側は空欄に困ります。その状態が続くと、日報そのものが形だけになります。

一般には、集計に使う数字だけを残し、それ以外は落とします。使わない数字を集めても、書く手間が増えるだけです。

とはいえ、後から必要になる項目もあります。そのため、何に使うかを決めてから欄を作ります。

ポイントはここです。製造業の作業日報は、集計に使う数字だけに絞ることで書き続けられる記録になります。

ここでは、何を残す記録なのか、書く項目、不良率と稼働率の出し方、そして続く形にするところまでを順に整理します。

製造業の作業日報とは何を残す記録か

製造業の作業日報は、その日に何をどれだけ作ったかを残す記録です。数量と時間、そして止まった理由を書きます。

  • 数量良品と不良の数
  • 時間作業と停止の時間
  • 状況停止の理由と気づき
作業日報は、数量・時間・状況の3つを残す

停止の理由まで書いてあると、改善の材料になります。

原価の出どころになる

1個あたりにかかった時間が分かると、加工費が出せます。見積りのときに、この数字が根拠になります。

そのうえで、実際にかかった時間と見積りを比べられます。差が大きい品番があれば、見積りか工程のどちらかに問題があります。

原価が分からないまま受注すると、作るほど損をすることがあります。

日報から出す工数は、おおよそで構いません。細かく分けようとすると、記入の負担が増えます。

品番ごとの合計時間を、生産数で割る程度から始めます。

納期の見通しが立つ

注文の数に対して、いま何個できているか。1日あたり何個進んでいるか。

残りの数と1日の生産数が分かると、納期の見通しが立ちます。

そのうえで、間に合わない場合は早く分かります。残業を入れるか、他の設備を使うか、顧客に相談するか。

早く分かるほど、選べる手が増えます。

不良の傾向が見える

不良の数を日ごとに残していると、傾向が見えます。特定の品番、特定の日、特定の材料ロット。

そのうえで、区分ごとに数えると原因が絞れます。寸法、外観、組立。どこで出ているかが分かります。

1件ずつ見ていると、傾向は拾えません。

製造業の作業日報に書く項目

製造業の作業日報は、日付から停止の理由までを1行で残す形にします。1行で書けると、記入の負担が下がります。

  1. 1 日付と担当 誰がいつ
  2. 2 品番と工程 何をどの工程で
  3. 3 生産数 良品の数
  4. 4 不良数と内容 区分は選択式で
  5. 5 作業時間 開始と終了
  6. 6 停止と理由 止まった時間
日付から停止の理由までを1行で残す

この6つがあれば、原価も不良率も稼働率も出せます。そのうえで、それ以外の項目は集計に使うかを確かめてから足します。

項目書き方集計での使い道
品番型番や図番製品ごとの工数
工程工程の名前か番号工程ごとの負荷
生産数良品の数進み具合と原価
不良数数と区分不良率と原因追跡
作業時間開始と終了の時刻1個あたりの工数
停止時間分単位稼働率の計算
停止の理由選択式改善の優先順位

右の列は、その項目が何に使えるかです。そのうえで、使い道の無い項目は落とします。

停止の理由を選択式にする

停止の理由を自由記述にすると、書く手間がかかります。「材料待ち」「段取り替え」「設備の不具合」「打合せ」。

そのうえで、記号や番号で選べる形にします。記入が数秒で済み、集計もそのまま行えます。

区分は、実際に起きているものから作ります。

不良の区分を決めておく

不良の数だけを書いても、原因が分かりません。寸法、外観、材料、組立といった区分で残します。

区分で残すと、是正の手を打つ場所が決まります。

手書きと入力を混ぜない

現場で手書きした日報を、事務所で入力し直す形があります。同じ内容を2回書くことになります。

そのうえで、転記のときに誤りが入ります。数字の読み違い、行のずれ。

どちらか一方に決めると、手間が半分になります。

現場で入力できる環境があれば、そちらに寄せます。端末が近くにあるか、入力が簡単かで決まります。

一方で、手書きのほうが早い現場もあります。その場合は、集計だけを別に行う形にします。

製造業の作業日報の記入の負担を下げる

製造業の作業日報が続くかどうかは、1枚あたりの記入時間で決まります。5分かかる様式は、忙しい日に書かれません。

  • 選択式にする 5記入が数秒で済む
  • 設備の近くに置く 5後回しにならない
  • 項目を絞る 4空欄が減る
  • 時刻を自動で入れる 4打刻や機器から
  • 手書きを清書しない 3二度手間をなくす
記入の負担を下げる工夫と、効きやすさの目安

上の2つは、費用をかけずにできます。そのうえで、時刻の自動取得は設備によって可否が変わります。

集計に使わない項目を落とす

様式に欄があるのに、集計で使っていない項目があります。天候、気温、作業者の人数。

そのうえで、何に使うかを1つずつ確かめます。使っていない項目は落とします。

年に1回見直すと、少しずつ軽くなります。

設備の近くで書ける形にする

事務所でしか書けないと、記憶で書くことになります。時刻が丸まり、停止の理由も曖昧になります。

そのため、設備の横に用紙を置きます。バインダーに挟んでおくと、その場で書けます。

電子の場合も、端末を近くに置きます。

時刻は機器から取る

生産の数や稼働の時間を、設備から取れる場合があります。カウンターや稼働のログ。

機器から取れる項目は手で書かせない形にします。

製造業の作業日報から不良率を出す

不良率は、見る幅によって分かることが変わります。その日、週、月、年でそれぞれ見えるものが違います。

  • その日 1か月 異常な数値に気づく
  • 週ごと 3か月 ロットや担当の傾向
  • 月ごと 6か月 工程ごとの不良率
  • 年ごと 12か月 設備や工法の影響
見る幅と、そこで見えることの違い(月数で比較)

短い幅は異常の発見、長い幅は傾向の把握になります。そのうえで、月ごとの集計を定例にしておくと続きます。

工程ごとに不良率を出す

全体の不良率だけを見ていると、どこで出ているか分かりません。工程ごとに分けて出します。

そのうえで、工程ごとに数字が並ぶと、手を入れる場所が決まります。不良率の高い工程から見ます。

工程の欄が日報にあると、この集計ができます。

材料のロットと並べて見る

不良が特定の時期に集中していることがあります。材料のロットが変わった時期と重なることがあります。

そのうえで、日報に材料のロット番号を書いておくと突き合わせられます。書く欄がないと、この見方ができません。

材料が原因なら、受入検査の項目を見直します。

外注品についても同じです。どの外注先のどのロットかが分かると、原因が絞れます。

そのうえで、外注先へ伝える材料にもなります。

担当ごとに見るときは扱いを決める

担当ごとの不良率を出すと、差が見えます。その差を、どう扱うかを決めておきます。

個人を責める使い方をすると、不良の申告が減ります。

そのうえで、差が出ている場合は教育や手順の問題として見ます。上手な人のやり方を、手順書に反映する形にします。

製造業の作業日報から稼働率を出す

稼働率は、停止時間を記録していないと出せません。区分ごとに足すと、手を付ける順序が決まります。

  1. 停止時間を記録しているか はい次へ いいえ停止の欄を足す
  2. 停止の理由を区分で残しているか はい次へ いいえ選択式の区分を作る
  3. 区分ごとに時間を足しているか はい次へ いいえ月ごとに集計する
  4. いちばん長い区分から手を付けているか はい改善が進む形 いいえ優先順位を決め直す

区分ごとに時間を足すと、手を付ける順序が数字で決まる

稼働率を上げる順序

4つを順に進めると、改善の順序が数字で決まります。そのうえで、いちばん長い区分から手を付けます。

材料待ちが長ければ発注を見る

停止の理由で「材料待ち」が長い場合、生産の側ではなく発注の側に原因があります。発注の時期、在庫の水準、納入のリードタイム。

そのうえで、在庫管理表と併せて見ます。何がいつ足りなくなったかが分かります。

現場で改善しようとしても、この原因は動きません。

段取り替えが長ければ手順を見る

段取り替えの時間が長い場合、内段取りと外段取りの分け方を見直します。準備を前もって済ませられないか。

そのうえで、段取り替えの記録を別に取ると詳しく分かります。どの作業に時間がかかっているか。

日報では合計だけを取り、詳しくは別の記録で見る形にします。

設備の不具合が多ければ保全を見る

設備の停止が多い場合、保全の計画を見直します。点検の周期、部品の交換時期、予備品の在庫。

そのうえで、どの設備が多いかを数えます。特定の設備に集中していれば、更新の判断材料になります。

停止の記録が、設備投資の根拠になります。

製造業の作業日報と工程管理表のつなぎ方

製造業の作業日報と工程管理表は、同じ数字を違う切り口で見ます。2つがつながっていると、転記が要りません。

作業日報

  • 1日単位で見る
  • 工程ごとの実績
  • 数量と時間が中心
  • 現場が書く

工程管理表

  • 注文単位で見る
  • 工程の進み具合
  • 納期が中心
  • 管理する側が見る
同じ数字を、日単位と注文単位で見る

左が日単位、右が注文単位です。そのうえで、日報の数字が工程管理表に流れる形にします。

日報から工程管理表へ流す

日報に書いた生産数を、工程管理表に反映します。注文ごとの残りの数が、そこで分かります。

そのうえで、手で転記する形だと手間がかかります。表計算で連動させるか、システムで自動にします。

転記の作業が続くと、どこかで止まります。

品番と工程の名前をそろえる

日報と工程管理表で品番や工程の名前が違うと、突き合わせができません。社内で1つに決めます。

名前をそろえておくと、転記が要らなくなります。

遅れている工程を毎日見る

工程管理表を毎日見て、遅れている注文を拾います。翌日の段取りを決める材料になります。

そのうえで、遅れが続いている場合は原因を確認します。設備、人、材料。どこに原因があるか。

早く気づくほど、取り返せる幅が広がります。

製造業の作業日報でつまずきやすいところ

製造業の作業日報が形だけになる原因は、3つに分かれます。どれにあたるかで、手の打ちどころが変わります。

  • 項目が多い空欄が増える
  • 書く場所が遠い記憶で書く
  • 集計されない書く意味が見えない
3つのうち、いちばん効くのは集計して返すこと

上の2つは、様式と置き場所で直せます。一方で、3つ目は運用の側の問題になります。

集計した結果を現場に返す

書いた数字が何に使われているか分からないと、書く意味が感じられません。月に1回、集計した結果を掲示します。

そのうえで、その数字から何を変えたかも伝えます。「材料待ちが長いので、発注の時期を早めました」。

返ってくると、記入の精度も上がります。

空欄の意味を決める

空欄が「該当なし」なのか「書き忘れ」なのかを決めておきます。決めていないと、集計する側が判断できません。

そのうえで、該当なしの場合は斜線を引く形にします。書き忘れは空欄のまま。

区別がつくと、記入の抜けも見つかります。

様式を年に1回見直す

作った様式は、そのまま使われ続けます。使わない欄が残り、必要な欄が足りない状態になります。

そのうえで、年に1回、現場と一緒に見直します。書きにくい欄、使っていない欄を洗い出します。

見直すと、少しずつ軽くなります。

製造業の作業日報を続く形にする

製造業の作業日報は、書いた数字が集計され、結果が現場に戻る形にすると続きます。書きっぱなしだと、いずれ止まります。

  1. 1 その日 現場で1行書く
  2. 2 翌朝 前日分を締める
  3. 3 月ごと 不良率と稼働率を出す
  4. 4 改善 長い区分から手を付ける
  5. 5 掲示 結果を現場に返す
書いた数字が集計され、結果が現場に戻る形にする

この5つが回ると、日報が仕事の一部になります。そのうえで、最後の掲示が次の記入につながります。

翌朝に前日分を締める

日報が現場に残ったままだと、集計ができません。翌朝に集める形にします。

そのうえで、抜けている欄があればその場で聞きます。時間が経つと、思い出せません。

朝礼の前後に組み込むと、習慣になります。

月ごとに集計する担当を決める

集計を誰が行うかを決めておきます。決めていないと、月によって抜けます。

そのうえで、集計の手順も1枚にまとめておきます。どの項目をどう計算するか。

担当が代わっても、同じ形で出せます。

改善の結果を日報で確かめる

改善の手を打った後、日報の数字で効果を確かめます。停止時間が減ったか、不良率が下がったか。

打った手の結果を数字で確かめると、次の改善に進めます。

製造業の作業日報にかかわる最近の動き(2026年10月時点)

製造業の作業日報そのものを定めた法令はありません。そのうえで、作業日報に書く時間や、構内で働く人の扱いにかかわる決まりは、ここ数年で動いています。日付順に並べておきます。

時期動き根拠
2020年4月1日(参考)労働関係の記録の保存期間が5年になり、当分の間は3年とされた労働基準法第109条・第143条
2023年4月1日中小企業でも、月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が50%以上になった厚生労働省のリーフレット
2025年5月14日改正労働安全衛生法(令和7年法律第33号)が公布された厚生労働省の概要資料
2026年4月1日改正法の主な部分が施行され、注文者などが講じる措置の対象が、一人親方などを含む「作業従事者」に広がった同上
2026年5月27日令和7年の労働災害の確定値が公表された。製造業の死亡者は115人、休業4日以上の死傷者は26,371人厚生労働省

月60時間を超えたかどうかは、勤怠の記録で数えます。そのうえで、作業日報の時間と勤怠の時刻がずれていると、どちらが正しいのかを後から説明できません。作業日報の合計時間と勤怠の時間を、月に1回並べて見ると、ずれに早く気づけます。

出典:e-Gov法令検索:労働基準法、厚生労働省:月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引上げ、厚生労働省:改正労働安全衛生法の概要、厚生労働省:令和7年の労働災害発生状況

確認日は2026年10月3日です。労働時間の記録と保存の扱いは、所轄の労働基準監督署で確かめられます。

製造業の作業日報に出てくる用語

製造業の作業日報に出てくる用語の多くは、法令ではなく生産管理の用語です。一方で、時間にかかわる語は、労働基準法令や厚生労働省のガイドラインの言葉と重なります。

用語意味出典
工数作業にかかった人と時間の量。人数と時間を掛けて表す法令上の定義はない
不良率作った数に占める不良の数の割合法令上の定義はない
稼働率動かす予定の時間のうち、実際に動いた時間の割合法令上の定義はない
内段取り・外段取り機械を止めて行う段取りと、動かしたまま前もって行う段取り法令上の定義はない
労働時間使用者の指揮命令下に置かれている時間労働時間の適正な把握のためのガイドライン
自己申告制働く人が自分で始業と終業の時刻を申し出る方法同ガイドライン
労働関係に関する重要な書類保存が求められる書類。出勤簿やタイムカードなど労働時間の記録が含まれる労働基準法第109条、同ガイドライン

稼働率は、分母を何にするかで数字が変わります。社内で「動かす予定の時間」か「暦の時間」かを決めて、日報の集計表の頭に書いておくと、月ごとに比べられます。

製造業の作業日報と一緒に押さえておきたいこと

製造業の作業日報について調べると、様式の例はよく見つかります。そのうえで、保管期間や、勤怠の記録との関係は、あまり触れられていません。ここでは3つを取り上げます。

製造業の作業日報の保管期間

製造業の作業日報そのものの保存期間を定めた条文はありません。一方で、始業と終業の時刻を作業日報で記録している場合は、労働時間の記録に関する書類にあたると考えられます。

その場合は、5年間(当分の間は3年間)の保存が求められます(労働基準法第109条・第143条)。数え始めは記録が完結した日で、賃金の支払期日のほうが遅ければその日からとされています(労働基準法施行規則第56条)。品質や原価の記録として使う分は、取引先との取り決めや社内の規程で期間を決める形になります。

作業日報で労働時間を管理するとき

厚生労働省のガイドラインでは、始業と終業の時刻は、使用者が自ら確かめるか、タイムカードなどの客観的な記録をもとに確かめる形が原則とされています。作業日報に手で書いた時刻は、働く人が申し出る自己申告の形にあたります。

そのうえで、自己申告で把握するときは、入退場の記録などと大きくずれていないかを必要に応じて調べ、補正することとされています。作業日報は作業の記録、勤怠は時間の記録と分けておくと、それぞれの役目がはっきりします。

構内で働く外部の人の作業も残す

構内で、外注先や個人事業者が作業することがあります。2026年4月の改正法の施行で、注文者などが講じる措置の対象に、こうした「作業従事者」が含まれるようになりました。

そのうえで、作業日報に外部の人が入った工程と時間を残しておくと、どの作業に誰がいたかを後からたどれます。社員の日報と同じ様式に、所属の欄を1つ足す程度で始められます。

様式は作業日報テンプレートからダウンロードできます。あわせて使う工程管理表、生産計画表にまとめています。

商い屋 製造 編集部がまとめました製造業の様式を無料で配り、使い方と法令の決まりを記事にまとめています。法令の数字は e-Gov の原文で確かめてから載せています。

よくある質問

作業日報は工程ごとに分けて書くのですか。

工程ごとに分ける形が広く使われています。1枚にまとめると、どの工程で時間がかかったのかが読み取れません。工程を行で分け、時間と数量を列に置く様式にしておくと、後の集計がそのまま進みます。

不良数はどこまで細かく書きますか。

数だけでなく、不良の内容も書く形が扱いやすくなります。寸法、外観、機能という区分を決めて選択式にしておくと、記入の負担を増やさずに原因を追えます。内容が分からないと、是正の手が打てません。

作業日報と工程管理表は両方必要ですか。

見ている幅が違うため、両方を持つ形が一般的です。作業日報はその日の実績を、工程管理表は注文ごとの進み具合を追います。日報の数字が工程管理表に集まる関係にしておくと、二重に記録せずに済みます。

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